これからの飲食店経営を考えます
今般の新型ウイルス流行により大きなダメージを受けている業種のひとつが飲食店です。客足が遠のき売り上げが落ち込む中、何とかしのいで元に戻るのを待とうとしている飲食店も多いのではないかと思います。しかし、収束後にそっくり元に戻るのか、元のスタイルでも繁盛できるのか、わかりません。不安に思われている飲食店経営者は多いのではないでしょうか。
そこで、飲食店経営を見つめ直すために、あたらめていま何が起こっているのか、今後はどうなりそうかを整理してみたいと思います。
今起こっていること
現在、東京都による緊急事態措置が実施されています。その中で事業者に対しては、施設の分類ごとに休業要請などがなされています。
飲食店は「社会生活を維持する上で必要な施設」と位置づけられていますが、その一方で、夜の宴会や会食は感染リスクが高くなるおそれがあることから「営業時間短縮(20時まで)」並びに「お酒の提供は19時まで」を要請されているところです。
このように緊急事態措置上は夜の時間帯以外は何ら制限がありません。平たく言うと、夜だけは営業しないでね、ということなのですが、一方で都民に対しては「徹底した外出自粛要請」がされており、外食する人が極端に減ってしまったため、ほとんどのお店が日中営業してもお客がほとんど来ないという状況に陥っています。
現状への対応
そこで、多くのお店で取り組まれているのがテイクアウトです。たしかに外出自粛とテイクアウトは相性がよく、選択肢もこれしかないというのが実情だと思いますが、もう少し注力するために、今一度テイクアウトの原則を確認しましょう。テイクアウトの原則、それは逸品力です。加えて、持ち帰っても品質が落ちづらいもの、衛生面で問題が生じづらいものがよいと言われています。いつまでやるかもわからないものに本腰入れて開発するのは気が引けるかもしれませんが、逸品力のあるテイクアウト品を考案してみてください。
テイクアウトほどではないもののデリバリーに取り組まれるお店もあるようです。デリバリーは配送コストや決済コストがかかりますので客単価は高くないと厳しい。そうすると、メインの高単価設定、(サイド)メニューの充実が必要です。お客にはスピード、注文や支払いの便利さが求められるでしょう。単店では難しいのあれば近隣店舗と共同してというのもよいかもしれません。どこかの商店街(目黒区かな)で同じような取り組みをされているところがあるとニュースで報じていました。
完全収束までの移行期
次に緊急事態措置が解除された後のことを考えてみます。緊急事態措置が解除されたらすぐに客足が戻るでしょうか。みなさんはどう思われますか。私はそうはうまくいかないのではと考えています。もちろん解除されれば経済活動が再開され、それにつれて客足もある程度戻るでしょう。しかし、いまだ感染するリスクがある中では、外食を手控える人も相当数いるかもしれません。そうすると、新型ウイルス流行前の状況に100パーセント戻るのは難しいのではないでしょうか。
そのような、緊急事態解除後から完全収束までの「移行期」に、より早く売り上げを回復できるように、今のうちから備えることが大事です。はじめのうちは外食を手控えている人も時間が経つにつれ次第に外食するようになってくるでしょう。感染リスクに気をつけるのに飽きてくる。鈍感になってくる。他人が外食して平気そうだったら自分もしたい。友人に誘われてそろそろいいかなと思う。でも、感染リスクがありそうなお店は避けよう。そんな外食再開しはじめの人が入りやすいお店にしておくことが有効ではないでしょうか。
ちなみに、世の中にはいろんな人がいて、感染リスクを気にしない、もしくは我慢できないことがあると感染リスクよりも優先してしまう人もいるようです。休業要請されたパチンコ屋さんに集う人を見るとそう思います。そういった人たちを対象にしているお店は、特に備えをしなくてもいち早く客足が戻るかもしれません。
完全収束後の世界
新型ウイルスの流行が完全に収束すれば以前と同じ経営環境に戻ると思われます。ただし、これを機にリモートワークが定着したり、あと思い浮かびませんが、変わることもあるかもしれません。それと、大声で話すと飛沫がひどいとか、不衛生な場所や場面を覚えましたので、新型ウイルスに限らず清潔に生活したい人は、そうではないお店を避けるようになるかもしれません。完全収束後を見据えてもやはり、感染リスクを気にする人でも入りやすいお店にしていくことが大事だと思います。
まとめ
ここまでの内容をまとめました。
フェーズ | 今 | 移行期 | 収束後 |
---|---|---|---|
状況 | 自粛要請中 | まだ収束せず | 収束する |
お客さん | みんな外出自粛中 | 個人差 | 元に戻る |
来店するかどうか |
基本行かない 罪悪感・同調圧力 他の客が気になる 大人数では行けない |
気にしない人は来店 我慢できない 気にする人は様子見 お店の感染防止対策見極め 安全そうなお店から |
ウイルスを忘れる人 教訓を生かす人 新しい生活様式 |
感染リスク | 不安いっぱい |
個人差 感染しない経験則 飽きてくる |
薬やワクチンで安心感 |
いつまで | 5月いっぱいまでか | どれくらいかわからない | どれくらいかわからない |
いまできること
長々と書いてしまいましたが、大事なのは感染リスクを感じさせない、安心感のあるお店にすることだと思います。先日政府から「新しい生活様式」が公表されました。こういったものも参考にしながら取り組んでください。以下は東京都「適切な感染防止対策」や「新しい生活様式」をもとに私なりに考えたものです。費用面やお店のコンセプト上できないこともあると思いますが、参考になるものがあればご検討ください。
- 従業員の検温を記録(公表)
- 発熱のあるかた入店お断り(掲示)
- 対面ではなく横並び
- 会話エリア分け
- 団体客と個人客分け
- 予約・貸し切り
- 他客との距離をとる
- 換気をしているような
- 自動ドア(非接触)
- アルコール消毒液自動噴霧器
- 使い捨て食器
- 店員も大声出さない
- キャッシュレス決済
- 帰りがけに手ピカジェルプチあげる
- 対策しているPR
さいごに、ここまでの話はなんだか本当に飲食店に感染リスクがあるかのように思わせてしまったかもしれませんが、接待を伴わない飲食店で感染したという話は私は聞いていませんし、ほとんどないのではないかと考えることを付け加えます。