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インボイスの記載内容

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インボイスの記載内容

消費税のいわゆるインボイス制度導入が近づいてまいりました。同制度のスタートは来年10月ですが、その時に動き出すのではなく、今のうちから準備しましょう。私もまだあんまりしっくりきていないので、とっかかりやすいところから、少しづつ見ていきたいと思います。第2回目の今回はインボイスの記載内容についてです。

インボイスとは

インボイスとはどんなものでしょうか。インボイスは、仕入税額控除するのに必要なもの(書類・データ)のことです。インボイスにはいくつかあるようですが、主なインボイスとして今回は「適格請求書」と「適格簡易請求書」を見ていきましょう。

適格請求書

適格請求書は、インボイスのひとつです。請求書と名づけていますが請求書に限りません。適格請求書の定義を確認しましょう。

適格請求書には以下の内容がすべて記載されていなければなりません。書類名は何でも構いません。とにかく以下の内容がすべて記載されていればよいわけです。ただ、取引についての書類ですから、一般的には納品書や請求書・領収証などが想定されるかと思います。

一見すると現行の請求書に少し手を加えればよさげに思えます。下にあらためて記載内容とサンプルを掲載しました。こちらは国税庁の資料から拝借してきました。

主な追記点は登録番号です。ただ、登録番号だけ記載すればよいというわけではなく、消費税相当額の記載も必要になります。また、対価の額は現行の税込みに加え、税抜きでの記載も認められるようになります。

適格簡易請求書

次は適格簡易請求書です。簡易というくらいなので、適格請求書よりも簡便なイメージです。お店のレシートのイメージでしょうか。

まず、適格簡易請求書を交付できる事業が限定されています。適格簡易請求書を交付できるのは、小売業・飲食店業・写真業・旅行業・タクシー業・駐車場業・その他不特定多数相手の事業です。

写真業・旅行業はイメージが湧きませんでした。小売業・飲食店業・タクシー業・駐車場業(コインパーキング)はイメージしやすいと思います。スーパーや飲食チェーン店のレシートを思い浮かべればよいかと思います。レシートは小さいので印字できる文字数に制約がある、だから簡便にということなのでしょう。

適格簡易請求書には以下の内容がすべて記載されていなければなりません。

さほど簡便になっていないような気もしますが、こちらは受領者の氏名などは記載する必要がありません。追記点はやはり登録番号です。消費税のところは、消費税相当額か税率のどちらか一方でよいとなっています。ただ、インボイス制度の趣旨を鑑みれば、消費税相当額を記載すべきかなと私は思います。

適格簡易請求書は主にレシートだと思います。ですからみなさんとしてはレジシステムに委譲することになるのではないでしょうか。レジシステムの設定を変更できなかったり、更新されない場合は買い替えでしょうか。

もちろん手書きでも適格簡易請求書の交付は可能です。飲食店などは手書きが多いように思います。市販の領収証がそのうち対応したものになるでしょうから、それを利用して記載事項をもれなく記載すればよいでしょう。その場合、宛名を書くなら適格請求書の、宛名を書かないなら適格簡易請求書の記載事項をもれなく記載しましょう。

余談ですが、そもそも飲食店など不特定多数が利用する店舗で、領収証に宛名を書く意味が私はわかりません。本人確認していない、ましてや名刺交換もしていなかったら、相手が誰なのかわからないですよね。飲食店オーナーのあなた、山本さんから「佐藤さんって書いて」って言われたら宛名に佐藤さんって書いちゃうんですよね。それっておかしいというかやばそうな気がします。「うちは適格簡易請求書しかお出ししてないんですよ、でもこれもインボイスだから大丈夫ですよ」来年の10月からはそうしたらどうでしょうか。これを機に意味のない宛名書きという無駄な慣習がなくなるといいなあと思います。

レシートに話を戻しますが、レシートは多くの場合感熱紙を使用しています。感熱紙だと数年で、保管状態が悪い場合には数か月で印字が消えてしまいます。一方、仕入税額控除の保存要件は7年です。もらったほうがスキャナ保存すればいいとたしかにそうなんですが、交付するほうとしては、なるべく消えにくい適格簡易請求書を交付してあげるのがやさしさだと思います。消えやすい用紙を採用していますと、再交付してだ反面調査だなんだで余計に面倒なことが起こってしまうかもしれません。

まとめ

今回はインボイスのうち適格請求書と適格簡易請求書を見てきました。仕入税額控除するのに使えるものなどは他にもありますが、そちらは後日機会があれば確認したいと思います。まずは今回の2つをみなさんの業務にどう導入するか検討してみてください。

2022月3月27日


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