消費税の経理方法

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消費税の経理方法

消費税の経理方法には、税込経理と税抜経理があります。それぞれどんな特徴があって、どちらがよいのでしょうか。

税込経理

日々の取引を税込金額で仕訳する方法が税込経理です。税込金額はいいかえると取引してやりとりする金額そのものです。なので、仕訳をする上では分かりやすいのではないかと思います。

スーパーやコンビニなどで買い物したとき、税抜金額と消費税額が明示してあるレシートも増えてきましたが、それでもまだ、税込金額しか記載していないレシートもけっこうあります。アマゾンなんかそうですね、楽天もそうかもしれません。そういう取引を仕訳するには税込経理のほうが合いそうです。

いくつか税込経理の例を挙げます。まず一つ目、本体1000円（消費税100円）・合計1100円で売り上げて支払いは掛け（翌月払い）とした場合。

売掛金　1100円　／　売上高　1100円

二つ目の例。ドラッグストアにて、本体400円（消費税40円）・合計440円で事務所のトイレットペーパーをクレジットカード払いで購入した場合。

消耗品費　440円　／　未払金　440円

三つ目の例。消費税の納税額を計算したところ60円となった場合。本来消費税は必要経費ではありませんが、税込経理の場合ほかにやりようがないので必要経費として仕訳します。税の一種なので勘定科目は租税公課とするのが一般的です。

租税公課　60円　／　未払消費税等　60円

試算表や決算書の損益計算書ではこのような表示になります。

税抜経理

次は税抜経理です。税抜経理はその名のとおり、取引を消費税抜きの金額、すなわち本体金額と消費税額に分けて、それぞれを仕訳する方法です。

仕訳そのものの行数が増えてしまい、面倒くさそうです。さらに、レシートなどにそれぞれの金額が明示されていない場合には、じぶんで計算して分けなければなりません。

税込経理のと同じ例を挙げます。まず一つ目、本体1000円（消費税100円）・合計1100円で売り上げて支払いは掛け（翌月払い）とした場合。

売掛金　1000円　／　売上高　　　　1000円
　　　　　　　　／　仮受消費税等　100円

二つ目の例。ドラッグストアにて、本体400円（消費税40円）・合計440円で事務所のトイレットペーパーをクレジットカード払いで購入した場合。

消耗品費　　　400円　／　未払金　440円
仮払消費税等　40円　 ／

三つ目の例。消費税の納税額を計算したところ60円となった場合。日々積み上げてきた仮受消費税等と仮払消費税等をゼロにして未払消費税等に納税額を計上します。

仮受消費税等　100円　／　仮払消費税等　40円
　　　　　　　　　　 ／　未払消費税等　60円

ちなみに、仮受消費税等のことを預り消費税等といったりもします。また、細かいですが「等」は地方消費税のことを指しています。試算表や決算書の損益計算書ではこのような表示になります。

損益計算書を比べてみる

あらためて損益計算書の表示を比べてみましょう。日々の作業のしやすさも大事ですが、損益計算書の分かりやすさも大事です。

売上・必要経費は金額が異なりますが、結論である利益は600円で同じです。売上は税込金額か税抜（本体のみ）金額かのちがいです。売上がじぶんの実感と合うかどうか、あるいは売上管理（予算）と合うかどうか。

経理方法のところでご紹介したとおり、税込経理では消費税が売上と必要経費とに重複して計上されています。

税込経理と税抜経理を見てきましたが、消費税の性質からすると、本来は税抜経理が望ましいです。先ほど見たとおり損益計算書もすっきりします。税込経理は一部の個人事業主くらいが採用するくらいでしょうか。

自動仕訳機能

会計ソフトの自動仕訳機能を利用しますと、仕訳は税込経理で行うけれど、会計ソフトが自動で税抜経理に補正するための仕訳を生成してくれます。パソコンってすばらしいですね。税込で仕訳をして、自動で税抜経理に補正することを、「税込入力・税抜経理」と呼んだりしています。

インボイス後の経理

税込経理、けっこう人気あります。なぜか。それはいろんなところのレシートが税抜経理できるような記載になっていないからです。もっとも現制度では税抜の記載をする必要はありません。そうはいっても、売り上げ側は多くの場合本体プラス消費税で請求金額を計算しているでしょうから、記載するのが望ましいと私は思います。

2023年10月から開始予定のインボイス制度になりますと、税抜の記載が義務づけられますから、格段に税抜経理しやすくなるでしょう。そう考えると、数年後に税込経理は過去の遺物になるかもしれません。

2021月9月24日

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