まつきよ税理士事務所

立て替えについて

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立て替えについて

主に事業者間での取引の際に、立て替えを行なう場合があります。今回は立て替えについて考えていきたいと思います。

立て替えとは

立て替えとは、その費用を本来負担すべき者がその支払いの際に支払うことができないので、代わりに取引先などに支払っておいてもらい、後日代金を精算することをいいます。

たとえば、建設業などの現場しごとで、現場の駐車料金は発注元(または元請け)が負担することと決めた場合。駐車料金は駐車場から出庫するときに支払うのが一般的ですから、その場は立て替えて支払い、後日発注元(または元請け)に請求します。

もうひとつの例。たとえば、司法書士に会社設立を依頼すると、司法書士は依頼者が本来負担すべき登録免許税などを立て替えて支払ってくれます。後日請求されます。

取引ではありませんが従業員と会社の間でも立て替えはあります。たとえば従業員が外出する際の交通費。その場の支払いは従業員が立て替えておいて、後日会社に請求します。

正しい処理

先ほどの駐車料金の例をもう少し詳しく考えてみましょう。こちらが下請けだとして、元請けさんから「駐車料金はこちらで負担するから立て替えておいて」と言われたとします。言われたとおり駐車料金は小口現金から支払いレシートをとっておきました。

小口現金出納帳に記帳するためにレシートを使いますが、コピーして使います。小口現金出納帳には立替金として記帳しました。

月末になったので請求書を作成します。工賃は通常の請求書を作成しました。一方、立て替えた駐車料金については、元請けさんから指定された立替金請求書に記載し、それにレシートを添付して元請けさんに郵送しました。

一か月後、元請けさんから駐車料金分の金額が振り込まれました。これで一件落着です。ちなみに、元請けさん側は受け取った立替金請求書と添付のレシートをもとに、自己の経費として経理処理します。

間違いやすい点

レシートは費用を負担する人がもらうべきです。ですから、立て替えて支払った場合には、後で負担してくれる人にレシートを渡して、それと引き換えに立替代金を受け取るようにしましょう。

もしレシートが手元に残ったままだと、ほかの経費と同じように処理してしまうかもしれませんし、受け取っていないほうは外注費として処理してしまうかもしれません。いずれにしてもわかりづらくなりやすいところですので、きちっとしましょう。今までの経験上、帳簿の立替金勘定に出所不明の残高が残ってるのを何度も見たことがあります。

上乗せ請求とのちがい

立て替えではなく、料金に上乗せして請求してという場合もあるかもしれません。立て替えと上乗せと、何がちがうのか。それは、立て替えはあくまでもその費用をどちらが負担するかですが、上乗せはあくまでも料金をいくらにするかということです。

どっちでも結果同じじゃないかと思われるかもしれませんが、社内での経理処理が異なりますし、場合によっては税金の処理が変わってくることもありえます。たとえば、駐車料金ではなくて、飲み物代だったとしましょう。飲み物の消費税率は8パーセントです。一方で工賃の消費税率は10パーセントです。立て替えか上乗せかで生じる消費税の税率が変わってきます。

駐車料金の例とは少しちがいますがこんなケースがありました。ある大手宅配会社グループにネット通販の宅配を依頼している会社がありました。その宅配会社から届いた請求書を見ると、代引き決済時の印紙代相当額には消費税が課税されるとありました。一見すると印紙代だから消費税がないのかと思ってしまいますが、印紙は誰が負担すべきものかというとそれは宅配会社が負担すべきものです。依頼者と宅配会社との取り決めというよりも印紙税法を根拠とした判断ですが、つまり、印紙代相当額というのはあくまでも宅配料の上乗せであり、立て替えではないということがいえます。したがって、印紙代相当額分であっても宅配料ですから消費税10パーセントとなります。

なぜ立て替えをするのか

人はなぜ立て替え取引をするのでしょうか。立て替えるということは、先ほどの例の元請けさんからすれば、その費用が生じてしまって申し訳ないというような気持ちがあるのかもしれません。たとえば、駐車料金の高い都心に現場がある場合。駐車料金のことを考えたら誰も依頼を受けてくれないんじゃないか、あそこの会社に依頼したいけれど断られるんじゃないか、だから駐車料金は負担しますからお願いしますということでしょうか。しかし、外注工賃の金額そのものを値上げしたくはない。なぜなら、便乗値上げをされてしまうかもしれないし、ほかの下請けさんとのバランスも保たなければならないなど管理上の問題があるのかもしれません。

ETC料金の場合

困るのはレシートがない場合です。たとえばETC料金。ETCは停止せずに済むのがメリットである反面、レシートを受け取れないというデメリットがあります。ETC利用照会サービスに登録すれば利用明細を確認することができるようですし、パーキングエリアなどに設置のETC利用履歴発行プリンターから利用証明書を印刷することができるようですので、そういったものを利用してレシートがある場合と同様に処理できるようにしてください。

2021月9月5日


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