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仲間とはじめる会社の作り方

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仲間とはじめる会社の作り方

2人以上で会社をはじめるときはいくつか注意すべきことがあります。今回はそのうち株式会社の出資金について考えていきたいと思います。

株式会社の出資金とは

株式会社をつくるときには誰かが出資します。出資金は元手になります。出資金を元手に設備を購入したり、仕入れをしたりして事業を開始します。

出資金は返還されません。なので出資した人は損するかんじです。もちろん出資金と引き換えにいわゆる「株券」を得るわけですが、じぶんで会社を経営していく限り換金するわけないでしょうから、どぶに金を捨てるようなもんです。

ただし「株券」を持っているとその株式会社のオーナー権を持つことができます。いわゆる経営権のことです。オーナー権を持っていることで会社の運営を思う通りにできます。

言い換えると、どぶに金を捨てる覚悟で出資しないと会社のオーナーにはなれないということでしょうか。

もし1人で会社をはじめるなら、じぶんが出資するしかないですから話は早いのですが、2人以上ですと誰がいくら出すのかを話し合って決めないといけません。誰がいくら出すかは、単にお金持ちが出せばいいというわけではなく、お互いの人間関係や役割分担に合わせて適切に決めるべきでしょう。お互いの関係性と出資の割合がちぐはぐだと、後々ギシギシしてしまわないか心配なんです。

「株券」の価値

先ほど「株券」はオーナー権だとお伝えしましたが、そのほかにも価値はあります。しかし、株式上場でもしない限りあまり関係ありません。念のため一応見ていきます。

「株券」を持っていると会社から配当金をもらうことができます。株式投資をしている方にはおなじみだと思います。ただ、経営者イコール出資者の会社で配当金を支払うことはほとんどありません。配当金を支払うことにメリットがないからです。それよりは役員報酬(役員の給料のこと)をたくさん支払うほうがよいのです。

「株券」には、はっきりとした値段がついていませんが、値段がつくといえばつきます。「株券」の値段は、会社が大きくなるにつれて上がっていきます。しかし、値段が気になるのは売る人だけです。会社をずっとじぶんで経営していこうという人にとっては関係のない話です。たとえるならクルマと一緒。いくらで売れるか気になるのは下取りに出す時だけ、乗ってる時は気にならないですよね。

ということで「株券」にはいろんな損得が隠れているのではと思ってしまいがちですが、オーナー会社の場合はただのオーナー権だと考えていてよいかと思います。

出資の割合に注意

2人以上で会社をはじめるとき、リーダー格の人が全額出資して、ほかはリーダーについていくんであればシンプルでいいのですが、共同出資でやろうとなると、各人がどれくらいの割合を持つことになるのかに注意が必要です。

まずは過半数を誰が握るかです。過半数を握っている人が、役員を誰にするかや役員報酬をいくらにするかなど、会社のだいたいのことを決定できます。過半数を握っていれば役員の座に居続けられますし、気にくわない役員を外すこともできます。

つぎに3分の2以上を誰が握るかです。3分の2以上を握っていれば完璧です。過半数なのに加えて、たとえば定款(会社のルールブック)の変更、増資、身売りなどを決定できます。言い換えると、たとえ過半数を握っていても3分の2以上なければ、定款の変更や増資は独断でできないということです。

定款の変更とは、たとえば、新規事業をはじめるとか、社名を変更するとか、取締役会を廃止するとか、そういうことがあります。

こういう風に見てきますと、3分の1以下を持っていてもほとんど意味がないかもしれません(ちょこちょこっとした権利はありますが)。

ケーススタディ

①2人で半分づつ共同出資する場合

これはよろしくありません。どちらも過半数を握っていませんから(株主間で決めることについては)両者の意見が一致することしか決まりません。

②2人でAさんが150万円、Bさんが100万円を共同出資する場合

Aさんは60%です。過半数ではありますが3分の2には達していません。この場合Aさんは、過半数で決めることは独断でいけますが、3分の2で決めることはBさんにも賛成してもらわないといけません。Bさんからすると、役員報酬は勝手に決められるし、クビにされるかもしれないけど、会社の根本を変えることはかろうじて阻止できるといったかんじでしょうか。

③2人でAさんが200万円、Bさんが100万円を共同出資する場合

Aさんは3分の2を握りますから、Aさんの完全主導型ですので、もしAさんが調子に乗ってサイドビジネス(愛人のためにお店を出すなど)をはじめたり、増資して新しい株主を連れてきたりしても、Bさんには阻止することができません。

④3人で3分の1づつ共同出資する場合

3人になると各人の関係性にさらなる注意が必要です。この場合、3人のうち2人が組むとあわせて3分の2を握りますから、残りの1人は蚊帳の外になります。

まとめ

ここまでの話はあくまでも会社法の話です。本当に仲の良い間柄でしたらそんなもの超越して適当にやればいいだけの話です。しかし、一緒に仕事をすると、いろいろあります。なので今は仲の良い間柄だとしても、形式的なことはちゃんとしておいたほうがよいと思います。ぜひご参考にしていただいて、もし分からなかったり決められない時はご相談ください。

2020月8月12日


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