まつきよ税理士事務所

新型ウイルス流行と経営判断

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新型ウイルス流行と経営判断

新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。このウイルス流行は自営業者や経営者にとっては「災害」であるといえます。しかし、誰も保険金をくれるわけではありません。損害保険の補償対象外でした。ですからご自身で何とかしなければなりません。給付金や融資など行政の支援制度に関する情報が先行していますが、まず大事なのは、今後どうなるかの見通しを立てて、それに基づいて経営判断を行うことです。

収束シナリオは

新聞やテレビ報道などをもとに私個人の見解ですが感染流行の収束シナリオを考えてみました。まず、収束させるための方策として考えられるものを挙げます。

特効薬は既存のものを転用しようとしているようですがそれでもゴーサインを出せるまでにはかなりの時間を要するようです。また、既存の薬を転用するわけですから、完全に対応したものではなく、効き目や副作用の点で望ましいものではないかもしれません。

同じくワクチンの開発もかなりの時間を要するようです。そもそもワクチンは難易度が高いらしく実現できるかどうかも不透明なようですので、見込みがあるとすれば特効薬のように思います。

感染者をすべて隔離してウイルス自体を根絶やしにする、これは現段階に至ってはロックダウンをしたとしてもただちに実現するのは難しいように思えます。

いわゆる集団免疫ができると感染拡大が収束に向かうようですが、何しろ免疫をつけるには一度感染しないといけませんから、短期間に実現しようとすると途端に医療体制が崩壊してしまいます。当局の描くメインシナリオは、医療体制が保てる程度に人々を感染させていきながら、少しづつ免疫保持者を増やし、やがて集団免疫ができるのを待つということなのでしょうが、かなりの時間がかかりそうです。

こうして考えてみますと、どうやら1年以内に収束することではないように思えます。

商売への影響は

商売への影響を考えます。思い浮かぶものを挙げてみました。

休業要請によって事実上営業できない(営業しても売上がほんのわずか)なのは今のところは来月6日までとされていますが、感染流行の次第によっては延長される、あるいは一旦休止後再び実施されたりするのではないかと思います。

営業できないと売り上げがあがらないだけでなく、その施設や店舗の賃借料・人件費・借入金の返済原資などのいわゆる固定費の支払いは生じてしまいます。影響度合いはとても大きく深刻です。

また、ひとくちに休業要請といっても、その時々の目的によって範囲や内容を当局は変えてくると思います。感染爆発を招くいわゆる「三密」になるところは常に対象にされそうです。一方で感染爆発は生じないが人が集まるだけのところなどはそうでないかもしれません。ご自身の業態が当局からどう見られているのかを知る必要があるでしょう。

休業要請がなくなったとしても、自粛ムードや感染リスクなどが残ると売り上げに影響があるでしょう。個人の気持ちのほか、所属している会社や団体などが自粛するように命じるかもしれません。

インバウンド需要の回復は国内需要の回復よりも先になるのではないかと思います。各政府による出入国制限はもちろん、日本の状況が海外にはタイムラグを伴って伝わるでしょうから、かなり安心ムードが広がらないと旅行代理店はツアーを組まないのではないかと思います。

思わぬ影響としてサプライチェーンを挙げました。国内ではあまり影響がないと思いますが海外で生産したり海外から輸入している商品や部品などの仕入れが滞ったり取引価格が高騰したりする可能性があります。取引先などと情報交換をし状況を早めに押さえましょう。

以上いくつか挙げてみましたが、それぞれの影響についてその度合いと期間がどうなりそうかが大事です。度合いは営業できないのか売り上げ半減なのか微減なのか、期間は1か月か半年か1年か2年か、1か月で確実に終わるのかいつ終わるかわからないのか、ご自身の見立てを持ちましょう。

影響に対する経営判断

そして、経営判断です。影響度合いが高くない、あるいは影響度合いは高いが期間限定となる見通しであるなら、何とかなりそうです。融資を受けても収束後に返済ができるなら融資を受けて耐えしのぎながら営業努力を続けていくべきでしょう。

一方、影響度合いが高く、いつ収束するのか見通しが立たない場合は難しい経営判断を迫られます。今までどおりにはいかないかもしれません。収束まで生き残るために、収束後のために、何を残し生かすか。ご自身で納得いくまで考えて経営判断をしてください。

まとめ

新型コロナウイルス流行の行方については、感染症の専門家などが発信する情報を新聞などから得て見通しを立てましょう。今後、解明されることも増えてくるはずです。


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